ネット系サービスは人の人生を変えられるか?
ずいぶん昔の話だけど、サイバー法研究者のレッシグ教授によると、
人の行動をコントロールする手段は4つあると…。
法律、道徳、経済、アーキテクチャーの4つです。
- 作者: ローレンス・レッシグ,Lawrence Lessig,山形浩生
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2007/12/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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例えば飲酒運転というテーマで考えてみると、
法律 : 飲酒運転で捕まったらヤバい。
道徳 : 酔ってる時に運転したら危ないよね〜。
市場 : (ちょい強引)1年間無飲酒運転なら10万円もらえます!とか。
アーキテクチャー : 運転時に吐息からアルコール度数をチェックし、飲酒状態なら停止。
みたいな感じですね。
この中で、最も強制的に人をコントロールできるのはアーキテクチャーです。
だって、他の3つは人の意識に訴えかけなきゃいけないけど、
アーキテクチャーは仕組みの根本を変えて、人の行動を完全に制御できるから。
そして、製品やサービスをつくる際に、最も取り入れやすいのもまたアーキテクチャーです。
法律を変えるって超大変。人の道徳を変えるのも超大変。市場も変えるの超大変。
でも、アーキテクチャーなら簡単に変えられる!
製品やサービスの提供者は、その中の世界の「神」になれるんです!
なーんてw
一番わかりやすいのはゲーム。
例えば、ボスを倒さないと次のステージに進めない設計にしてたら、
ユーザはそのボスを倒さずに次のステージに進むことはできないわけですよ。
次のステージに進みたかったら、ボスを倒すしかない。
そして、強力な武器を買わないとそのボスに勝てなければ、課金してその武器を買うしかない。
(実際ボス戦をアイテム購入のトリガーにはしませんが…あくまで例え話です)
ゲームの中では、ユーザは提供者の手のひらで踊るしかないんですよね。
ただ、その世界をユーザが楽しめる形で提供できなければ、過疎って利益出ないけど。
ソーシャルゲームなら、ユーザがどの段階にいても簡単に楽しめて、かつ
その楽しい過程の中で自然に課金したくなるような仕組みを考えていく。
例えに出しといてゲームはちょっと微妙ですが、極端に言うと
「人の行動を変える=人の人生を変える」と言っていいと思います。
僕はmixiやFacebookを使って、これらがなかったら決して出会えなかった人と仲良くなれました。
また、iPhoneを使い始めてから情報収集のスタイルが一変しました。
そんなわけで、IT・デジタルの世界とアーキテクチャーは非常に相性がいい。
じゃあ僕自身はここから、人の人生にどんな影響を与えたいか?
資本主義をベースに考えてみようと思います。
ひと口に資本主義と言っても定義や視点はいろいろあるけど、
ここではお金の流れ方や運用実態ではなく、思想の視点から入ります。
基本思想を一言でいうなら、他人を幸せにした人ほど豊かになれる仕組みだと思ってます。
ビジネスを考えるうえでの出発点は、人々が何を望んでいるかということ。
ここから考え始めないと大ヒットは生まれない。
次に、その望みを叶える商品を開発し、提供する。その対価としてお金をもらう。
ユーザが欲する商品を提供すればするほど、対価も比例して入ってくる。
ビジネスは、誰が一番人々を幸せにできるかを争う戦争だ。
そして、その結果得たお金は、それでだいたいのモノが買えて、その人の人生を豊かにする。
これが資本主義の理想シナリオ。なかなか理想通りにはいかないけどね。
で、これは主に生産者・労働者をコントロールする仕組み。
一方、IT系サービスは消費者に対しての仕組みもたくさん作っています。
例えばFacebook。ニュースフィードにはエッジランクという仕組みがあります。
これは、フィードをただ時系列には表示せず、ある評価に基づき表示順を入れ替えたり非表示にする。
その評価方法とは、ユーザがいいねを押したりコメントをつけたりした履歴から新密度を算出し、
新密度が高く新しい情報ほど優先的に表示するというものです。
Facebook News Feedの記事を選ぶEdgeRankアルゴリズム F8で相当詳しく説明
http://jp.techcrunch.com/archives/20100422facebook-edgerank/
これによって、親しくない人の情報はどんどん埋もれていくので、
ユーザは人と親しくする(好かれようとする)方向に導かれるわけです。
例えばFacebookはこういうアーキテクチャーで人の行動をコントロールしようとしてます。
同じネットサービスでも、2ちゃんねるとは全然違いますね。
(2ちゃんは2ちゃんでFacebookとは別の方向で存在意義があるけど)
僕もこのエッジランクに近い方向性のことがやりたいなあと思ってます。
日常生活の中で、他人に対していいことをした人ほど輝ける仕組みというか、
誰もが持ってる人間の弱くて醜くて汚い部分を軽減させるような仕組み。
かなり抽象的だけど、みんなが心から笑えるような、そんな仕組み。
でもこの考え方は結構危うくて、うまく作らないとユーザは疲れちゃう。
mixiだって、昔mixi中毒とかmixi疲れなんて言葉が流行ったし…。
自分も含め、人はみなバカでだらしなくて怠け者の側面を持ってるから、
善人でありなさいって、厳しく強制しすぎると、そんなサービスは誰も使わなくなる。
だから、自分を偽らずに自然体のままいいことをしようとする仕組みでないとダメ。
最近だと、このサービスはコンセプトが素晴らしいなーって思います!
CAMPFIRE
ソーシャルの力で資金とファンを獲得する「CAMPFIRE」がついにローンチ
http://japan.cnet.com/news/service/35003489/
じゃあ自分自身はどうなの?
どんな分野でどんな仕組みを作ればそれが実現できるの??
うーーん、まだ答えはないっすーーー。。
最近Androidアプリを作り始めたけど、全然上の話とは違うものを作ってるしww
(あ、悪いことはしてないですよ。単なる便利系サービスだってことです)
人の人生を変えるサービスって一筋縄にはいかない。当たり前だけど。。
全然まとまらなかったけど、今後もこのテーマは考え続けていきたいです。